NotebookLMを開発の現場でどう活かすか、まずはその土台となる基本構造や、ファイルを読み込ませる際の具体的なルールについて掘り下げていきましょう。単なるチャットツールとしてではなく、プロジェクトの「動く仕様書」として機能させるための本質的な理解を目指します。
NotebookLMでソースコードを解析する基本と仕組み
NotebookLMの使い方の基本
NotebookLMの最大の特徴は、自分がアップロードした資料だけを知識源とする「ソースに基づいた(Source-grounded)」AIである点です。一般的な生成AIはインターネット上の広大なデータから回答を探しますが、NotebookLMはあなたが追加した特定のドキュメントやコードだけを参照します。これにより、世間一般のプログラミング知識ではなく、「あなたのプロジェクト固有のルール」に従った回答が得られるわけです。
使い方は非常にシンプル。まずは「ノートブック」という箱を作成し、そこに解析したいファイルを「ソース」として追加するだけです。するとAIがその内容を即座にインデックス化し、チャット形式で質問に答えてくれるようになります。この際、回答には必ず「どの資料のどの行を参考にしたか」という引用元(シチュエーション)が表示されるため、AI特有のハルシネーション(もっともらしい嘘)のリスクを劇的に減らせます。エンジニアにとって、根拠のないコード解説ほど怖いものはありませんから、この参照機能は本当に心強いですよね。さらに、ソースを追加するたびにAIが自動で「ソースの概要」を作成してくれるので、初めて見るリポジトリの全体像を把握する際にも、まずは概要を眺めるだけで「何のためのコードか」をざっくり理解できるのが魅力です。
最近では、この「グラウンディング」の精度がさらに向上しており、複数のソースにまたがる複雑な依存関係についても、論理的な矛盾を指摘してくれる場面が増えています。単に質問に答えるだけでなく、プロジェクトの「知恵袋」として育てていく感覚で使うのが、今のトレンドかなと思います。
読み込めるファイル形式と対応言語
エンジニアとして一番気になるのが「どのファイルなら読み込めるのか」という点でしょう。基本的には.pdf、.txt、.md、.docxといったテキストベースのドキュメントに幅広く対応しています。設計書がPDFで、補足資料がWord、READMEがMarkdownといったバラバラな状態でも、NotebookLMなら一箇所にまとめて放り込めるのが強みです。
ソースコードに関しては、Google ドライブと連携することで.py(Python)や.js(JavaScript)、.ts(TypeScript)、.go(Go言語)といった主要なプログラミング言語のファイルを直接取り込むことが可能です。これまではプレーンテキストに変換する手間がありましたが、今ではドライブ上のファイルをそのまま指定するだけでOK。また、2025年以降のアップデートでは、Googleスプレッドシートやスライド、さらにはYouTubeの動画URLや音声ファイル(.mp3、.wavなど)までソースとして扱えるようになっています。例えば、技術解説動画やチームのミーティング録音を文字起こししてソースに加え、実装コードと突き合わせることで、「あの時、なぜこの実装にしたのか」という背景(コンテキスト)まで含めてAIに学習させることができるんです。これは従来のコード解析ツールにはなかった、NotebookLMならではのユニークな活用法と言えるでしょう。
対応言語についても、Googleのマルチモーダルモデル「Gemini」がベースになっているため、マイナーな言語や独自のDSL(ドメイン特化言語)でもある程度テキストとして認識できれば解析対象になります。ただし、バイナリファイルや画像内のコードを直接読み取る精度には限界があるため、基本はテキスト形式でのインポートを意識するのがスムーズですよ。
ソースの文字数や容量の制限
いくら便利でも、無限にデータを放り込めるわけではありません。NotebookLMを効率よく運用するためには、現在の制限値を把握しておく必要があります。まず、1つのソース(ファイル)あたりの上限は最大50万語、ファイルサイズで200MB以下とされています。これ、実はかなりのボリュームで、一般的な技術書なら数冊分、ソースコードなら数万行レベルが1ファイルで収まる計算です。
| 項目 | 制限値(無料版目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 1ソースあたりの単語数 | 最大50万語 | 大規模なドキュメントもOK |
| 1ノートブックのソース数 | 最大50個 | プロジェクトごとに分割推奨 |
| ノートブック作成数 | 最大100個 | 個人利用なら十分な数 |
また、1つのノートブックに追加できるソースの数は最大50個までとなっています。大規模なプロジェクトだと50ファイルでは足りないこともあるかもしれませんが、その場合は「機能単位」や「モジュール単位」でノートブックを分割して管理するのがコツです。例えば「認証系」「フロントエンド」「API」といった具合ですね。最近ではエンタープライズ版などで、1ノートブックあたり最大300ソースまで拡張されるケースも出てきています。自分のプロジェクト規模に合わせて、最適な情報の整理術を見つけていくのが、使いこなしの第一歩かなと思います。
注意点: アップロードしたソースは、その時点の「静的なコピー」としてNotebookLM内に保存されます。ローカルのエディタでコードを書き換えても、NotebookLM側のソースには自動反映されません。 最新の状態を解析したい場合は、一度古いソースを削除して再読み込み(リロード)する必要があります。この「同期のズレ」は初心者がハマりやすいポイントなので、定期的な更新を忘れないようにしてくださいね。
料金プランによる機能と制限の違い
NotebookLMは現在、多くのコア機能を無料で利用できますが、利用頻度や組織での導入を検討するなら、プランごとの違いを意識しておくのが賢明です。無料版でもGeminiの強力な解析能力をフルに活用できますが、1日あたりのクエリ数(質問回数)には一定の制限が設けられています。個人開発で「たまにコードを解説してもらう」程度なら無料版で全く問題ありませんが、業務でガッツリ使うなら少し物足りなくなるかもしれません。
一方で、ビジネス向けの「Google Workspace Enterprise版」や「Gemini Business/Enterprise」アドオンを契約している場合、扱えるデータ量の上限が引き上げられるだけでなく、組織内での共有管理機能や高度なセキュリティ設定が利用可能になります。特にチーム開発においては、特定のノートブックをチームメンバー全員で参照し、共通のナレッジベースとして活用できるメリットは計り知れません。また、有料プランでは優先的に最新モデル(Gemini 1.5 Proの最新版など)が適用される傾向にあり、より長いコンテキストウィンドウ(一度に処理できる情報の長さ)を活かした深い解析が可能になります。
「まずは無料で試して、チーム展開が必要になったら有料版へ」という流れがスムーズでしょう。最新の具体的な料金体系や機能差については、状況が刻々と変わるため、Googleの公式サイトを定期的にチェックする癖をつけておくのがおすすめですよ。
GitHubリポジトリをインポートする手順
エンジニアがプロジェクト全体の構造をAIに理解させたい時、ファイルを1つずつ手動でアップロードするのは、正直言って苦行ですよね。そこで多くのプロが活用しているのが、GitHubのリポジトリ全体を効率的にテキスト化して取り込む手法です。NotebookLMには直接「GitHub URLを貼るだけ」のボタンはまだありませんが、いくつかの賢い回避策があります。
最も一般的なのは「Uithub」や「repomix」といった外部ツールを使う方法です。これらを使うと、指定したリポジトリ内の全ファイル(除外設定も可能)を、ディレクトリ構造を保ったまま一つの大きなテキストファイルやMarkdownファイルにまとめて出力してくれます。この「1ファイルに固めたコードセット」をNotebookLMのソースとして読み込ませることで、AIはファイル間のインポート関係や全体のアーキテクチャを、バラバラに読み込むよりも遥かに正確に把握できるようになります。大規模なリポジトリの場合は、`node_modules`やビルド成果物など、解析に不要なフォルダを除外して「純粋なロジック」だけを抽出するのがポイントですね。ただし、プライベートリポジトリを扱う際は、ツールの安全性やアクセストークンの管理に十分注意し、機密情報が含まれていないか確認する習慣をつけましょう。
Googleドライブとの同期と更新方法
開発フローにおいて最もシームレスな運用ができるのが、Googleドライブを経由したインポート戦略です。普段使っているIDE(VS Codeなど)からGoogleドライブの同期フォルダへソースを書き出す設定にしておけば、NotebookLM側での取り込み作業が格段にスピーディーになります。
前述の通り「完全な自動同期」機能はまだ実装されていませんが、ドライブ連携を使っていれば、NotebookLMのソース一覧から「ソースを追加」→「Googleドライブ」と進むだけで、最新のファイルを選択し直すことができます。ファイル名が同じであれば、古いものを削除して新しいものを入れる作業は数秒で終わります。また、ちょっとした裏技として、NotebookLMが直接サポートしていない拡張子のファイル(例えば独自の構成ファイルなど)でも、拡張子を一時的に`.txt`や`.md`に変更してドライブに置けば、中身をテキストとして解読してくれます。自分のローカル環境とGoogleドライブをいかにストレスなく繋ぐかが、NotebookLMを「単なるおもちゃ」で終わらせず、実戦的なツールとして使い倒すための鍵になるはずです。
NotebookLMでソースコードを扱う際の高度な活用術
基本的な使い方がわかったところで、次は一歩踏み込んで「開発効率を劇的に上げるための応用テクニック」について見ていきましょう。
生成AIツールと開発支援の違い
ここで一度、世の中にある他のAIツールとの役割分担を整理しておきましょう。GitHub CopilotやCursorといった「コーディングAI」は、今まさに書いているコードの続きを提案したり、バグをその場で直したりする「右腕」として非常に優秀です。一方、NotebookLMの立ち位置は「プロジェクト全体の文脈を完全に把握している脳」です。役割が明確に違うんですよね。
コーディングAIは、ファイル単体や開いているタブの範囲内で推論することが多いですが、NotebookLMはプロジェクト全体の設計書、要件定義、そして過去の膨大なコードベースをすべて等価に扱います。そのため、「なぜこの関数はこの引数を取る設計になったのか?」や「このモジュールを修正したときに、ドキュメントとの矛盾が生じる箇所はどこか?」といった、マクロな視点での問いに強いんです。新しいコードを「ゼロから書かせる」のはCopilotに任せ、既存の複雑なロジックを「読み解く・検証する」のはNotebookLMに任せる。この「二刀流」を使いこなせるようになると、コードリーディングの時間が半分以下になることも珍しくありません。ツールごとの得意不得意を理解して、適材適所で使い分けるのが、現代のエンジニアリングにおける最強の立ち回りだと言えますね。
NotebookLMが得意なこと:
* 複雑な依存関係の可視化: 数十ファイルにまたがる処理のフローを言葉で説明させる。
* ドキュメントとの整合性確認: 仕様書に書いてある仕様が、実際のコードで実装されているかチェックする。
* オンボーディング支援: プロジェクトに参加したばかりのメンバーに、コードの歩き方をレクチャーさせる。
Deep Researchによる技術調査
2024年後半から2025年にかけて話題となっている「Deep Research(高度なリサーチ機能)」は、NotebookLMの活用幅をさらに広げました。これは、AIが単に手元の資料を読むだけでなく、必要に応じて外部の広大な技術情報を探索し、多角的な知見をレポートにまとめてくれる機能です。
例えば、「このリポジトリで使われている古いライブラリを、最新の推奨ライブラリにリプレイスするためのステップと注意点を教えて。最新の公式ドキュメントの情報も踏まえて」と依頼したとします。するとAIは、プロジェクト内のコードを解析しつつ、ウェブ上の最新の移行ガイドやGitHubのIssue、Stack Overflowの議論を巡回し、あなたのプロジェクトに最適化された「移行計画書」を作り上げてくれます。これ、自力でやると数時間はかかる作業ですよね。生成されたレポートをそのまま「ソース」として再インポートすれば、その後の質疑応答もより正確になります。このように、「手元のコード」と「世の中の最新知見」をガッチャンコして考えられるのが、Deep Research時代のNotebookLMの凄みです。調査業務という孤独な作業が、AIとの対話によってクリエイティブな時間へと変わるはずですよ。
音声や動画で学ぶStudio機能の活用
意外と見落とされがちなのが、NotebookLMの「Studio」パネル(旧Audio Overviewなど)によるマルチモーダルな学習体験です。ソースとして読み込ませたコードやドキュメントを元に、ポッドキャスト風の対談音声や、要点をまとめたスライド、解説動画を自動生成できる機能です。これが意外とエンジニアの「インプット疲れ」を癒してくれます。
「この複雑なステート管理のロジックを、初心者でもわかるようにラジオ形式で解説して」と指示してみてください。すると、二人のAIが「このコードのここがトリッキーだよね」「あ、本当だ。でもここをこうすることで、パフォーマンスを稼いでるんだね」といった具合に、耳で聞くだけで理解できるコンテンツを作ってくれます。画面を凝視してコードを読むのが辛い深夜や、移動中のスキマ時間に、自分のプロジェクトの内容を「リスニング」で復習できるのは、新しい感覚です。また、新しく入ってきたメンバー向けに、プロジェクトの概要を解説する「AI音声ガイド」を作成して共有しておくのも、教育コストの削減に繋がります。テキストだけでなく、音や映像を駆使して情報を多層的に理解する。そんな使い方ができるのも、NotebookLMが単なるLLMを超えた「AIノートブック」である所以ですね。
| 出力スタイル | 主な活用シーン | エンジニアへのメリット |
|---|---|---|
| ポッドキャスト | 通勤中や家事中のキャッチアップ | コードの背景や文脈を直感的に理解できる |
| 要約ドキュメント | 上司への進捗報告やWikiの作成 | 技術的な詳細を非エンジニアにも伝わる言葉に変換 |
| FAQリスト | オンボーディングや保守運用の引継ぎ | 「よくある質問」の自動生成で対応時間を削減 |
非公式APIによる開発フローの自動化
NotebookLMのポテンシャルを最大限に引き出したいハッカー気質のエンジニアにおすすめなのが、非公式APIやライブラリを活用した自動化です。現在、Google公式のAPIは限定的な公開に留まっていますが、GitHubなどでは有志によるPythonライブラリ(例えば `notebooklm-py` など)が公開されています。これらを使うと、ブラウザを開かずにターミナルからソースを一括アップロードしたり、定期的に回答をスクレイピングしてSlackに通知したりといった運用が可能になります。
例えば、毎晩CI(継続的インテグレーション)が走るタイミングで、変更された差分コードを自動でNotebookLMに流し込み、「今回の変更でセキュリティ上の懸念がないか」をAIに判定させて、その結果をプルリクエストのコメントに自動投稿する……なんてシステムも夢ではありません。もちろん、非公式ツールはGoogle側のアップデートによって突然使えなくなるリスクがあるため、プロダクション環境での利用は慎重になる必要がありますが、個人の生産性を高める「俺専用ツール」として構築するのは最高に楽しいはず。APIの公式提供を待ちつつ、こうしたツールで「未来の開発体験」を先取りしてみるのもいいですね。
セキュリティと企業導入の安全策
「大事なソースコードをGoogleにアップロードして大丈夫?」という懸念は、特に業務で使う場合には避けて通れない問題ですよね。結論から言うと、個人向けの無料版と、Google Workspaceのビジネス・エンタープライズ版では、データの取り扱いポリシーが明確に異なります。Enterprise版などを使用している場合、アップロードしたデータがAIモデルの学習に利用されることはありません。
データはあなたの組織の管理下にあるGoogle Cloudのインフラ内で隔離され、外部に漏れたり、他のユーザーの回答に使われたりすることはないため、高い機密性が保たれます。とはいえ、企業のポリシーによっては「未承認のSaaSへのコードアップロード禁止」というルールがある場合も多いでしょう。導入前には、必ず自社のセキュリティ部門と相談し、管理者が制御できるWorkspace環境下での利用を徹底することをお勧めします。また、コード内のハードコードされたパスワードや秘密鍵などは、アップロード前に必ずマスキング(削除)する。そんな「エンジニアとしての基本」を守ることで、AIの利便性とセキュリティを高い次元で両立させることができるかなと思います。
NotebookLMでソースコードを読み解く要点まとめ
ここまで、NotebookLMを開発現場で使い倒すための様々なテクニックを見てきました。結論として、NotebookLMはソースコードを単なる「命令の羅列」から「対話可能な生きた知識」に変えてくれる革命的なツールです。これまでの「検索して、読んで、理解する」という一方通行な学習から、「AIと一緒に、深く、速く、多角的に解析する」という双方向のスタイルへとシフトしています。
今回の重要ポイント振り返り:
* ソース限定の安心感: あなたが渡した情報だけを元にするから、プロジェクト固有のルールを外さない。
* マルチな入力: コードだけでなく、仕様書、動画、音声まで一箇所にまとめられる。
* 役割分担が肝: コーディングはCursorやCopilot、全体の構造把握やリサーチはNotebookLMが最強。
* 更新は手動: コードを書き換えたら、ソースの再アップロードを忘れずに!
AI技術の進化スピードは凄まじいですが、NotebookLMは間違いなくエンジニアの「知的能力」を拡張してくれる強力なデバイスになります。まずは、自分が昔書いた「今見ると何をしているか分からないコード」を読み込ませて、AIに解説させてみるところから始めてみてください。その驚きの理解力に、きっとワクワクするはずですよ!

